ECサイト運営者が抑えておきたい、EC業界の物流・配送の話

ECサイト運営者が抑えておきたい、EC業界の物流・配送の話
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昨今、ECサイトが台頭しEC化率は急上昇しており、2014年の日本国内のBtoC-EC市場規模は前年比17.4%増の11.2兆円となっています。

参考:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました- 国内BtoC-EC 市場規模は11.2兆円に成長 -

日本で有力な配送会社といえば、おなじみ日本郵便、ヤマト運輸、佐川急便といった企業が挙げられ、ECサイトを運営する企業の多くが上記3社を使っていると思います。

配送・物流に関しては、自社で配送を行う企業・物流システムを独自で持つ大企業・物流会社へ業務を委託している企業と複数のパターンがあり、また扱う商材によってクール便やDM便(旧メール便)の必要が出てきたりと状況は様々です。

一方で年末から騒がれた話題としてヤマト運輸のメール便廃止というニュースもありました。
これは「信書」とされるいわゆる手紙を送付する際、メール便の使用は禁じられていながらも、書類として区別がつかず知らないうちに送付してしまう事が大変多くあるため廃止という措置となったものです。

これらに対応するため、ヤマト運輸では3種類のサービス展開を開始し、物流業界は多様化が進んでいます。

今回は、主に中小企業のECサイト運営に係る物流業界の現状と変化について書かせて頂きます。

配送料はなぜ値上げしていくのか?

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物流界隈では毎年大きな動きが見られる

2014年4月1日、ヤマト運輸は消費税の税率引き上げに伴う運賃・料金の変更を行い、その際に、取引量に応じた配送料の割引に対し、適正な料金を反映させるとした値上げを含む契約見直しを実施しました。

参考:消費税の税率引き上げに伴う運賃・料金の変更についてのお知らせ

つまり、過去値引きしていた料金を適正料金(割引しない価格)にし、これが「実質的な値上げ」とされたことになります。

ヤマト運輸社長も「値上げの通らない顧客に対しては、取引中止もあり得る」とまで述べていたことが大変印象的でした。

参考:企業の社会的責任を考慮した調達のあり方

値上げの理由は何なのか?

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売上やシェアは拡大できても、利益率が低下している

配送する荷物の運賃は、荷物の縦幅・横幅・厚さ(・重さ)で決まってきます。3辺の合計によって「100サイズダンボール」や「120サイズダンボール」という形で価格が決まってくるということになります。

物流会社の多くは、取り扱う荷物の量に応じて値引きを実施してきたというのが現状です。しかしながら、現場で配送を行う車両には積載の上限が出てきます。

配送料の値引きを行うということは、本来適正価格とされたダンボール120サイズのものを、80サイズ価格で配送するということになりますので、適正価格に対して設定されている積載量より40サイズの積載オーバーが起きるということになります。

配送料金の値引きが起きている一方で、市場規模に対するEC取引の割合を示す「EC化率」は冒頭の通り前年比ほぼ2割増、2兆円程度増加しています。

EC化率の上昇と共に配送する荷物は莫大な量となり、各物流拠点・営業所で積載オーバーが巻き起こりつつある状況(既に巻き起こっているという噂もありますが)にあるというのが、今回の実質的な値上げ、過去の価格を維持できなくなってきた理由と言えるでしょう。

このようなことになると、物流へ来る荷物を裁くことができない事や、日時指定に配送ができないといった問題が生じてくる可能性もあります。2015年問題とされる国土交通省の発表した問題として、ドライバーが15万人不足するというものもありました。価格を正規の形に戻すことで施設・人員拡充を狙っていると考えられます。

ECサイトはどのような対応を取るのが良いのか?

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大きなECの潮流と共に正しい対応が求められる

送料はビジネスモデルに係る重要なポイントです。想定できない範囲で、アンコントローラブルの配送という所で料金が上がってしまったのは大きな問題である。「お客さまに負担してもらおう」「粗利を削ってでも送料無料にしてしまおう」と決めてしまう前に、一度再考してみることが必要ではないでしょうか。

送料無料を再考する

Amazon.co.jpを中心に「送料は無料!」という考え方が事業者にも消費者にも浸透しています。しかし、ZOZOTOWNの前澤氏が述べていたとおり配送する会社の協力によって通信販売は成り立っています。

一度思い切って「送料無料」という考え方を捨ててみることも必要かもしれません。

本来送料はかかってくる費用であり、その点についてを消費者にご理解頂く必要が増してきていると言えます。

インターネット上で有名店のラーメンを販売するECサイト「宅麺」では、この送料の問題が騒がれる前から送料についての説明をしっかりと行い、購入者へ理解して頂ける形を実現しているECサイトの1つです。

 

送料について  | 宅麺.com

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クール便は送料が高いがそれ以上の付加価値があると説明している
このように送料についての説明を設けているECサイトはまだまだ少ない

それでも、可能な限り送料を下げていきたいのが本音……

私の知る限りでは、クール便を含めれば最大で2倍程度料金が引き上がったという話も聞いています。いくら顧客へ説明をとしても、絶対値として価格が上がってしまっていることに変わりはありません。

物流業界を理解することで、価格交渉に入れるポイントを説明していきます。

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やはりコスト削減は欠かせない

配送会社の意向を汲む

配送会社は基本的に「軽く、小さな荷物を沢山運びたい」というのが本音ではないかと私は考えています。荷物の配送については積載量が少なく、運ぶことが用意なものであれば荷物を捌くスピードも上がる、作業の能率を考えているとそのような荷物が最も取り扱いやすいのではないでしょうか。

ECサイト(通信販売)企業の多くは、化粧品やサプリメントといった単品リピート商材を取り扱っているため、比較的送料を落とせるという噂を耳にしたことも有ります。そういったところを踏まえて、一度状況を伺い、商品本体や梱包等に反映させてみてもいいかもしれません。

価格交渉を行う

昨年適正な価格への交渉が行われたばかりなので、現状では難しいところになるかもしれませんが、値引きが行われているという噂も耳にしています。私の知るところでは、地域No.1の物流会社に物流機能を依頼することで、規模の働きで実際の配送料金の値引きを行う事ができる可能性があるのではないかと思っています。

物流業界の新たな動き

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物流に業界にもさまざまな変革が起きている

旧メール便に相当するサービスの拡充

冒頭に記載したとおり、ヤマト運輸ではメール便に代わるサービスとしてDM便・宅急便コンパクト・ネコポスというサービスを開始しました。また日本郵便では近しいサービスとしてポスパケットといったサービスも開始しており各社しのぎを削っています。中でも日本郵便は中小企業ECの新規獲得が3社の中で唯一増えているという数字もあり、中小企業EC取り込むことに成功していると思われます。自社商品にあったサービスを選択することが重要になってきています。

参考:2つのNEW | ヤマト運輸クロネコDM便(法人・個人事業主のお客様) | ヤマト運輸

ロジスティクスベンチャー企業「オープンロジ」

中小企業・個人事業主の利用を想定したオープンロジという新興ロジスティクスベンチャーがあります。

オープンロジは「物流会社との契約のハードルが高い」、「自社配送に限界を感じている」といった企業に向けて提供されており、物流会社に自動的に取次、ウェブ上で簡単に物流を管理できる今までになかったシステム。代表の伊藤氏は長らく物流に関わってきた方で、安価で使いやすく明快に物流が使えるということで大変期待できるサービスではないかと注目されています。

参考:物流アウトソーシングのオープンロジがIVPとコロプラ千葉功太郎氏から資金調達、須田仁之氏が監査役に

国内NO.1フリマアプリ、 メルカリがヤマト運輸と提携

少し本題とはそれますが、新たな試みとして紹介させていただきます。

スマートフォン向けフリマアプリ「メルカリ」は業界で初めて、ヤマト運輸と提携し全国一律発送、送り状自動生成の機能を備えたサービスを開始したようです。

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実現には足掛け1年かかったと言われている

メルカリ(プラットフォーム側)が送料の一部を負担し、決済までを一元化したのはおそらく日本初めての試みであり、メルカリやフリルといったCtoCプラットフォームの影響力の高さが伺えてくる内容ではないかと思います。

参考:フリマアプリ「メルカリ」とヤマト運輸の提携サービスの開始について

まとめ

配送はECサイトにおける最も重要な機能のうちの1つです。EC化率が急上昇し、ECサイトを取り巻く環境は大きく変化してきている事をお分かりいただけたのではないでしょうか。多用に変化する現代において、現状を的確に把握し、顧客が何を求めているかを考え、自社にとってベストな選択を常に心がけ、サービスに努めていくことが重要です。

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佐野 友昭
佐野 友昭
2011年よりスタートアップベンチャーを中心に活動。新たなビジネスモデル・価値観に強い関心のあるウェブディレクター/マーケター。

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